インプラント埋入治療

IMPLANT

インプラント埋入手術をお考えの方へ

インプラント埋入治療は、何らかの理由で歯を失ってしまった場合に、天然歯に近い見た目と噛み心地を再現する治療方法です。歯肉の内部にある顎骨に、チタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を取り付けます。ライフスタイルなどによっては、入れ歯やブリッジといった治療方法が合っている場合もあります。

歯科用インプラントの基本構造

歯科用インプラントは3つのパーツで構成されています。まず、顎骨の中に埋め込むインプラント(チタン製の人工歯根)があります。2つ目が、天然歯に近い見た目をしている上部構造(人工歯)です。そして3つ目のアバットメント(連結部分)によって、インプラントと上部構造を連結させています。

歯科用インプラントの基本構造

当院で行なうインプラント埋入手術

信頼のインプラントシステムを採用

「アストラテックインプラントシステムEV」は、世界3大インプラントメーカーとよばれ、多くのエビデンスデータを揃えるデンツプライシロナ社の製品です。スウェーデンの医薬品メーカー・アストラゼネカを母体とするデンツプライシロナ社は、世界的な歯科医療機器メーカーとして知られています。
同製品は世界標準の先端的なインプラントシステムで、TXからEVへのバージョンアップによってインプラント強度が2倍になり、初期固定値を容易にコントロールできるようにもなりました。これにより、骨が薄い患者様にも使えるようになり、早期に上部構造を入れることもできるようになっています。

信頼のインプラントシステムを採用

当院のインプラント埋入治療では、患者様の安心・安全に配慮するために、シンプラントサージカルガイドの使用をおすすめしております。代わりに、CT撮影料およびセデーション(寝た状態にて手術を行なうための処置)を無料としております。

より正確に、安全を求めた「シンプラントガイド」

インプラントを三次元的に正しい位置に埋入することは、フリーハンドでは非常に困難です。そこで当院では、「シンプラント」というインプラント埋入手術前に行なうシミュレーションシステムのソフトと、「サージカルガイド」という手術用テンプレートを併用することで、より正確な手術を実現しています。
シンプラントでは左のような画像を得られますが、赤い部分は、神経の束が通っているところになります。目で見てはっきりわかるので、この部分を避けることができ、重要な組織を傷つけることなくより安全・低侵襲にインプラントを埋め込めます。
フリーハンドで行なうより痛みや腫れを抑えられ、より短時間で手術を終えられるという点も特徴です。

より正確に、安全を求めた「シンプラントガイド」

従来の治療法との違い

メリット デメリット

インプラント

インプラント
  • 固定式のため自分の歯のように食事ができ、違和感が少ない。
  • 天然歯に限りなく近く審美性に優れている。
  • 周りの歯を削らなくてよい。
  • 手術が必要。
  • 自費診療となるため費用が高い。手術が必要。
  • 骨への定着期間を含むと治療期間が長い。手術が必要。

ブリッジ

ブリッジ
  • 固定式のため違和感が少ない。
  • 治療期間の短縮を図れる。
  • セラミック素材を使うと天然歯のようにきれいな見た目になる。
  • 両隣の健康な歯を削らなければならない。
  • 支えになる歯に大きな負担がかかる。
  • ブリッジと歯肉との間に食べ物のカスが詰まり、お口の中が不衛生になりやすい。

入れ歯

入れ歯
  • ほかの治療法よりも簡単で、治療期間の短縮を図れる。
  • 通常の入れ歯であれば保険が適用されるため治療費を抑えられる。
  • 食べ心地が悪く硬い物を食べられない。
  • 食べ物が入れ歯のすき間に挟まってお口の中が不衛生になりやすい。
  • ガタつきがあり違和感がある。
  • バネが見えて見た目が悪い。

インプラント埋入治療の流れ

  • カウンセリングと検査

    STEP

    問診表にご記入いただき、検査とカウンセリングを行ないます。歯を失った状況や、インプラント埋入治療でどういった回復を求めているかを、充分にヒアリングします。また、治療内容や治療の流れなどを説明し、患者様に治療に対する理解を深めていただきます。
    検査については、全体の噛み合わせを診るために歯形をとり、模型を作ります。そのうえで、噛み合わせのチェックをします。また、診断用のレントゲンを撮ります。より詳しい状態を把握するために、後診CTをお撮りする場合もあります。

    カウンセリングと検査
  • STEP

    診断に基づいた治療計画の説明

    初診での検査資料を基に診断し、より詳しい治療計画をご説明します。必要に応じて、ワックスで作った最終的な被せ物の模型を用いて治療計画をお伝えします。
    インフォームドコンセント(充分な説明と理解)を行なってから治療を開始します。

    診断に基づいた治療計画の説明
  • STEP

    虫歯や歯周病の治療

    ほかに虫歯があったり歯周病にかかっていたりすると、すぐにはインプラント埋入治療ができません。インプラント埋入治療の前に、周囲の歯の虫歯治療や歯周病(歯槽膿漏)の治療を行ないます。
    また、骨量が不足している場合には骨の再生治療を行ないます。

    虫歯や歯周病の治療
  • STEP

    インプラント埋入手術

    インプラントを顎骨に埋め込みます。
    手術方法は、一回法と二回法の二種類があります。お口の中の状態によってより良い方法を選択することになります。一般的には二回法が主流となっています。

    インプラント埋入手術
  • STEP

    治療期間

    埋入したインプラントが骨と結合するまで安静期間をおきます。骨の状態や治療部位によって異なりますが、3~6ヵ月ほど待ちます。なお、この期間中は仮歯を入れることができるため、日常生活にはさほど支障がありません。

    治癒期間の目安
    上顎前歯:6ヵ月 上顎奥歯:4ヵ月
    下顎前歯:1.5ヵ月 下顎奥歯:1.5ヵ月

    また、インプラントを埋入した日に、インプラントの上にレジンという樹脂で仮歯を作る「イミディエイト術式(即時加重)」も可能になりました。
    即日で噛むことが可能となりますが、埋入する部位の骨量・骨密度・本数・埋入時の初期固定の強さなどによって、施術ができる場合とできない場合があります。

    インプラント埋入手術
  • STEP

    上部構造の設置

    二回法の場合は、外科手術で歯肉を切開してアバットメントと連結し、お口の中に歯の土台を作ります。一回法の場合は、骨との結合が確認され次第、上部構造の作製を開始します。

    上部構造の設置
  • STEP

    上部構造のチェック

    上部構造ができ上がったら装着し、噛み合わせのチェックなどを行ないます。

    上部構造のチェック
  • STEP

    定期検診(メンテナンス)

    3ヵ月に一度のペースでメンテナンスを実施。専門的な予防処置と検査を行ないます。このとき、インプラントの部分だけではなくほかの歯も診ます。お口全体の健康状態を長く維持するためにも定期的なメンテナンスにお越しください。

    定期検診(メンテナンス)

インプラントを長持ちさせるために

定期検診(メンテナンス)をきちんと受診することが重要です

定期検診(メンテナンス)をきちんと受診することが重要です

インプラントそのものは半永久的ですが、注意が必要なのはインプラント周辺の歯周組織や噛み合わせの状態です。インプラントが埋入されていることで、歯周組織には負荷がかかり、感染症を引き起こしやすくなります。

そこで重要なのが定期検診です。定期検診をきちんと受診していれば、長く快適に使うことが可能となります。なお、当院で最初にインプラント埋入治療をされた患者様は、現在も正常にインプラントが機能しています。

骨結合型のインプラント埋入治療は、30年以上前から臨床で行なわれている治療ではあるものの、まだ日本国内では「新しい治療」という認識が強くあります。下の表は、京都大学口腔外科における過去10年間のインプラント埋入治療の成績です。インプラントの2大メーカー「ブローネマルクシステム」と、当院で使用している「アストラシステム」にて治療を行なった、それぞれの部位の累積生着率が記載されています。上顎臼歯部は、ほかの部位に比べて骨が軟らかいため予後が悪いといわれていますが、こちらの表では良好な結果となっております。

ブローネマルクシステム アストラシステム
上顎前歯部 92.3%(104人中96人) 100.0%(72人中全員)
上顎臼歯部 92.1%(79人中72人) 100.0%(69人中全員)
下顎前歯部 100.0%(127人中全員) 97.4%(39人中38人)
下顎臼歯部 95.4%(87人中83人) 99.2%(127人中126人)
合計 95.2%(397人中378人) 99.3%(307人中305人)

京都大学口腔外科における過去10年間のインプラント埋入治療成績<表>

インプラント周囲炎

インプラントと歯肉の間に歯垢が溜まると、歯周組織に炎症が起こります。これをインプラント周囲炎といい、自覚症状が少ないため気づきにくいことが特徴です。また、炎症が進行しやすく、放置しているとインプラントが抜け落ちてしまうケースもあります。 当院ではインプラント周囲炎を予防するため、強力なジェット水流と細かなパウダーを吹き付けて歯面を清掃する「パウダークリーニング」を活用しています。歯冠から歯肉縁下(歯周ポケット)4mmまで、また歯と歯の間など、歯ブラシの届きにくい細かな部分までパウダーが入り込んでバイオフィルム(細菌の集合体、菌膜)を破壊し、細菌を除去します。セルフケアでは落とせない汚れが取り残されることなく一気にきれいになり、お口の中が衛生的な状態になるので、インプラント周囲炎の予防効果が高まります。露出根面の清掃や、インプラント表面の汚染の除去・表面性状の維持なども、組織や補綴物表層を傷つけずに行なえます。 当院の定期検診では、このパウダークリーニングを実施するようにしていますので、インプラント周囲炎の予防のためにも、ぜひ定期検診を受診ください。

インプラント周囲炎

当院使用の医療機器・医薬品、治療等に関する概要、一般的なリスク・副作用

歯科用インプラントシステムおよび同材料を用いた治療について

  • ・「オッセオスピード EV」「オッセオスピード プロファイル EV」は薬機法(医薬品医療機器等法)において承認された医療機器であり、歯の欠損部位の顎骨内に埋植し、歯科用補綴物を支持することによって咀嚼機能を回復させる機器となります。
  • ・この機器を使用して行なう治療は自費診療(保険適用外)となり、保険診療よりも高額になります。
  • ・事前に根管治療(神経の処置)やコア(土台)の処置が必要となることがあります。
  • ・治療では歯を削ることがあります。また、知覚過敏を発症することがあります。
  • ・抜髄(神経の処置)や抜歯が必要になることがあります。
  • ・抜歯や外科処置をともなう場合、出血や腫脹(しゅちょう)を生じることがあります。
  • ・治療で歯肉を移植する場合、二次的な出血・疼痛・腫脹(しゅちょう)が見られることがあります。
  • ・治療後、自発痛、咬合痛、冷温水痛を生じることがあります。
  • ・歯ぎしり・食いしばりなどの癖や噛み合わせによっては、補綴物が破損することがあります。
  • ・セラミック製の補綴物は、金属製の補綴物よりも歯を削る量が多くなることがあります。
  • ・噛み合わせ・歯ぎしりの強い方は、セラミックの破損を防止するため、マウスピースをおすすめすることがあります。

■オッセオスピード EV
販売名:オッセオスピード EV
医療機器承認番号:22800BZX00381000
一般的名称:歯科用インプラントシステム
医療機器クラス分類:高度管理医療機器
製造販売会社:デンツプライシロナ株式会社

■オッセオスピード プロファイル EV
販売名:オッセオスピード プロファイル EV
医療機器承認番号:22900BZX00322000
一般的名称:歯科用インプラントシステム
医療機器クラス分類:高度管理医療機器
製造販売会社:デンツプライシロナ株式会社

歯科インプラント用治療計画支援プログラムおよび同材料を用いた治療について

  • ・「シンプラント」は薬機法(医薬品医療機器等法)において承認された医療機器であり、画像診断装置などから得た情報をコンピューター処理して診断や治療計画の作成を支援し、インプラントを適切な位置に埋入するための外科手術用器具を設計する機器となります。
  • ・この機器を使用して行なう治療は自費診療(保険適用外)となり、保険診療よりも高額になります。
  • ・サージカルガイド(手術用テンプレート)を作製することで、インプラントの埋入位置・方向・角度・深さの精度と正確性を向上させられます。
  • ・低侵襲での治療が可能ですが、術後に腫れや痛みが現れることがあります。

■シンプラント
販売名:シンプラント
医療機器承認番号:23100BZX00032000
一般的名称:歯科インプラント用治療計画支援プログラム
医療機器クラス分類:管理医療機器
製造販売会社:デンツプライシロナ株式会社